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吹奏楽でエレキベースが上手くなるために




「エレキベースってどうしたら上手く弾けるようになりますか?」

吹奏楽部の指導に行くと、コントラバスの子達にそこそこの頻度で質問されるこの問題。
方々で答えている僕からの回答を一度まとめておこうと思います。


そして最初にひとつ大事な事を言っておきます。
「吹奏楽の楽譜だけを弾いていても、エレキベースはなかなか上手くなりません!」


さてさてひとつずつ順番に紐解いて参りましょう。



まず勘違いを正しておきたい




コントラバスとエレキベースは
違う楽器です!

確かにエレキベースはコントラバスを元にして発生した楽器ではありますが、
もはや違う楽器です!


そこを勘違いしないでいただきたいです。
コントラバスが弾けるからエレキベースも弾けるだろう、とか。
エレキベースが弾けるからコントラバスも弾けるだろう、とか。
大甘も良いところ。
大いなる勘違いでございます。


確かにどちらかをやっていれば、もう片方にも取っ付き易いってのは確かです。
そこは確かなのですが。


コントラバスとエレキベースは
ユーフォニアムとトロンボーンくらいは近い(この2つはマッピが同じ)ですが、バレーボールとセパタクローくらい違います。

まずそこを理解しておかないといけません。


例えば弦高ひとつ取ってみても、同じG線でも
コントラバスは7.0mm程度、エレキベースは1.0〜2.5mm程度と相当違います。
コントラバス先行でエレキベースの知識が何もない状態だと、エレキベースをとんでもない弦高で弾いていて、それが普通だと思っていたりします。

驚愕の弦高のまま受け継がれてきた部のベースのネックが弓みたいに反ってる、なんて恐ろしいモノを拝見してしまったことも一度や二度ではありません。

あな恐ろしや勘違い。

ぶっちゃけ左手のフォームも右手の弾き方も違います。近くて遠い。遠くて近い。
それがコントラバスとエレキベース。



コントラバスが弾けるからエレキベースもできるだろう、と言う勘違いから生じる問題。
「エレキベースが上手く弾けません!」
と言ってくる子達に色々話を聞いてみて、大体において当てはまるのは

コントラバスは練習しても、エレキベースの練習をしていない
って事です。


コントラバスとエレキベースは違う楽器です。
コントラバスはコントラバスの練習を、
エレキベースはエレキベースの練習をしないと上手く弾けるようにはなりません。



さてあなたは練習時間の内どれくらいをエレキベースに割り振っていますか?

エレキベースに1週間も2週間も触らずに突然弾いたとしても、そりゃあ良い音なんか出るわけがありません。
10分とか15分とかで良いので、毎日触った方が良いです。

ヘッドホンしちゃえば周りに音は出ませんし、そもそもアンプに繋がなければデカイ音は出ないので、お家に持って帰るのもおススメです。


僕は弟が趣味でギターを弾くのですが、中高生の頃は2人でソファーに転がってギターとベースを弾きながらTV観てるなんてことが日常でした。
そして楽器抱えたまま寝落ちまでがお決まりのパターン。


とにかく触って遊ぶ事が最も大事です。



異なる必要な知識




コントラバスとエレキベースは違う楽器なので、当然演奏する為に必要な知識は異なります。
先に挙げた弦高なんかもそのうちの1つではありますが、やはり最大の違いは「エレクトリック」であることなので、色々なスイッチなんかの意味を知らないとまともな音は出ません。

こちらは本サイトの方にて最低限必要な知識を解説しております。ご参照下さいませ。

EQ



吹奏楽の楽譜だけを弾いても




最初に提示した
「吹奏楽の楽譜だけを弾いていても、エレキベースはなかなか上手くなりません。」

と言うお話に触れたいと思います。



世の中には様々な楽器があって、それぞれの楽器にはその特性上演奏しやすいパターンと演奏しづらいパターン、のようなものがあります。

例えばどこかのC(ド)の音を弾いて、その次の瞬間に2オクターブ上のCを弾く、なんてパターン。
コントラバスだとスゲー難しいですが、ピアノだと何も難しくありません。右手と左手をそこに置いて待っておいて、ホホイと弾けば良いだけなので。

逆にトレモロの様な、同じ音を早く連続して出し続ける事はコントラバスにとってはなんて事ない動作ですが、ピアノだと結構難しい。


このようにそれぞれの楽器には得意な事、苦手な事があるのですが、吹奏楽のエレキベースにおいて、その辺を考慮してくれている曲や楽譜ってほとんどないです。

僕がレッスンしに行って、コレ教えてくださいって言われてパッと見で弾いた時に
「なんだこりゃ弾きづれえ!」
みたいなのがちょいちょいあるのが現状です。


その辺の楽譜の問題に関しては、以前
でも触れておりますので、併せてどうぞ。




楽器の特性があまり考慮されていない楽譜をなんとか頑張って演奏したとして、その楽器を演奏する為の能力が磨かれるでしょうか?

答えは No ! です。
エレキベースを弾き始めてまだ数年以内の初心者にとっては特にそうです。

そんな状態が続けば、ただでさえ弾きづらい音の並びををとにかく必死に追いかける事に終始してしまい、その曲を演奏し終わった後に残されるのは演奏技術や音楽的な進歩ではなく変な癖がせいぜいでしょう。


と言うことは、エレキベースが上手になりたかったら、吹奏楽の曲を弾く以外できっちり技術の習得に励む必要がある訳です。




エレキベースが上手くなるために




それではエレキベースが上手くなるためには一体どうしたら良いのか。
大雑把に3つ挙げてみます。




その1
★レッスンを受ける。
当然の事ですが、楽器が上手くなりたければ一番の近道はきちんとレッスンを受ける事です。




その2
教則本をやってみる。
これも当たり前っちゃあ当たり前なんですが。
何故か吹奏楽部の子達はコントラバスの教則本は持っていても、エレキベースの教則本を持ってる子がなかなかいません。

上で説明してきたように、コントラバスとエレキベースは違う楽器であり、必要な知識も得意なパターンも違います。
と言うことは、エレキベースに関してはエレキベースの教則本が必要です。

エレキベースの教則本は、コントラバスの教則本とは比較にならないくらい多くのものが出版されていて、楽器屋さんには大体何種類かが並んでいると思いますので、パラパラとめくって読んでみて、自分で理解出来そうなものを選ぶと良いと思います。

最初の一冊は内容盛りだくさん!みたいなものよりは基本の部分が分かりやすそうなものを選んだ方が良いです。構え方や右手の弾き方、機材の扱い方なんかが丁寧に解説されているものなんかがオススメです。




その3
好きなバンドの好きな曲をコピーする
好きなバンド、ありますか?
好きなベーシストはいますか?

もし両方にYESなら上手くなるのは簡単です。
そのバンドのスコアを買い、音源を聴き、ライブ動画を観て、先ずは1番好きな曲を一曲丸々完コピしてみてください!

それができたら今度は次に好きな曲。
アルバム1枚分くらい完コピ出来るようになれば、吹奏楽のエレキベースなんかは鼻歌歌って踊りながらでも弾けるようになります。

と言うのも、「バンドの曲」のエレキベースパートってのは「吹奏楽の曲」のものと違い、エレキベースを弾ける人がフレーズを考えているので、先程説明したような楽器の特性を無視したパターンみたいなのが出てきません。
とは言え曲の難易度は様々ですが、頑張ればいつか弾けるようになります。
いきなり難しいものから始めるよりは、最初は簡単そうな曲を選んだ方がモチベーションは持続しやすいとは思いますが。

それを繰り返せば「エレキベースで弾きやすい定番パターン」がどんどん蓄積されて、気が付いたら上手くなっていると思います。

テンション上がってきたらついでにバンドでも組んでみたら良いと思います。
いかにベースが重要なパートなのかを骨の髄まで感じられますよ!楽しいよ!


結び



まずは
「うおおおおおおおお!このベーシストかっけええええええ!!!」
みたいなのを見つけるのが上手くなるのには1番早いと思います。

あーゆー風に弾きたい!と思うものがないと、ただ音出すだけじゃあ楽しくもないですし。

僕はよく「好きなベーシストっていたりする?」
と質問するんですが、「この人が好きなんです!」って即答する子は上手くなるのが比べ物にならないくらい早いです。

エレキベースもコントラバスも色んなジャンルで使われていますので、是非ジャンル問わず色んな音楽を聴いてみて、これカッコいいな!と思えるものを探してみてください。




それではまた!