弦楽器はきちんと管理してあげれば100年経っても普通に弾くことができます。むしろ100年じゃまだ若い。
例えば誰もがなんとなく耳にしたことがあるであろうストラディバリウスなんてのは、余裕の300歳越えです。
では何故吹奏楽部のコントラバスがすぐ壊れたりしてしまうのか。
扱いと管理が悪いからです!
正しく扱って管理をし、良い音をまだ見ぬ後輩達へ繋げてあげてください。
まず知っておいて欲しいことは
コントラバスは湿度と温度の変化にとても弱い!
と言うことです。
コントラバスは何種類かの木でできていて、それらを膠(にかわ)と言う特殊な糊で圧着し、表面にはニスが塗ってあります。
そしてそれらの全てが湿度と温度の変化にとても弱いです。
どんな影響があるのかについては
ボディその他の項を恐怖写真と共にご覧下さい。
コントラバスを扱う上で大切な事は、湿度と温度を適切に管理することです。
プロの弦楽器奏者の方々は湿度計を楽器のケースにつけていたり持ち歩いたりしていることもままあります。僕もさすがに持ち歩いてはいませんが、自宅の楽器の置いてある部屋には温度計と湿度計があり、キッチリ管理しています。
慣れてくると空気の感じで大体分かるようになります。
★湿度は大体45%~60%くらいの間で保ってください。
それ以上でも以下でも木が割れたり裂けたり、膠が剥がれたりします。
45%以下になったら
ダンピットを入れたり、部屋を加湿してあげてください。
60%以上になったら除湿機をぶん回し、ボディに着いた湿気を綺麗な布で優しく拭き取ってください。
面白いことに、楽器に着いた湿気を丁寧に拭き取るだけでも音が変わります。
45%~60%だと大体人間が生活していて快適な湿度くらいですね。
人間が不快に感じる環境では楽器も不快だと言うことです。
なので
★極端に暑かったり寒かったりする場所に楽器を放置しないでください。
人間が不快な気温は楽器も不快です。
極端に暑いと膠もニスも溶けてしまいます。
おまけに表面に残った松ヤニが溶けてくっつき、取れなくなります。
★湿度、気温共に急激な変化を避けてください。
急激な環境の変化に耐えきれず、やはり割れてしまったりします。
以上を踏まえた上で、たまに見るけどホントにやめて欲しいこと。
★エアコンやストーブの前に置かないでください。
冷房でも暖房でも直接風が当たるところに置かないでください。ストーブの熱も然り。
急激な変化が起きて高確率で割れや剥がれが起きます。
★車の中に放置しないでください。
真夏の車内なんて70度とか80度になるらしいですからね、膠もニスも一発でやられます。
弓もセットで入れてたりすると毛についた松ヤニが溶けてくっつき、毛がまとめて1つの束になり音が出しづらくなります。
冬の凍りつく夜もダメです。
車上荒らしも怖いですし。
繰り返しになりますが、人が不快な環境は楽器も不快です。赤子や犬猫を放置できない場所に楽器を放置しないでくださいませ。
★直射日光に当てないでください
木は干されニスも膠も溶け表面が日に焼けます。
吸血鬼の様に日光を避けてください。
弾き終わった後はきちんとケースに入れた方が色んなものから守ることができます。学校などはどうしても夜の間の空調管理などはできませんからね。
あなたが夜お布団に入って眠るように、楽器も使わない時はなるべくケースにしまってあげましょう。
★ぶつけたり落としたりしないようにしてください!
ケースの肩に背負う紐や金具なんかもたまに点検してください。
僕は楽器をケースに入れて持って歩いてたら、突然ケースの紐が切れて落下し側板に大穴空けたことがあります。ぎゃー!!
★弓も専用の弓ケースにいれ、その上で楽器ケースにしまってください。
弓をそのまま楽器ケースの弓ポケットに放り込んでいる学校を見かけることがありますが、あそこは弓を裸のまま放り込む場所ではありません。弓もしっかりと弓ケースに入れて下さい。
吹奏楽部の場合、メンバーの人数次第で「今年はこの楽器は使わないなあ」なんて事もあるかと思います。
年単位の長期保管の際の注意点を挙げていきましょう。
★長期保管であっても、基本はここまでに述べた保管、管理の仕方と変わりません。
温度や湿度等の変化が少なく、人や物が激突してこない安定した場所に保管してください。
★年単位で保管する場合は弦を少し緩めて下さい。
半音、どんなに大きく下げても1音程度にして下さい。それ以上下げてしまうと、今度は魂柱が落ちたりしてしまう可能性が出てきます。
温度や湿度が変化すると音程が変化します。もし急激に音程が上がってしまった場合に弦の張力も急激に上がり、大きな負荷が掛かってしまった結果楽器が割れたりしてしまう事を防ぐ為です。
★年に数回楽器をケースから出し、楽器をチェックしてケースを干して下さい。
意外と知られていないのですが、長期保管でなくてもケースはたまに干して下さいね!
ケースも放置しておくと、湿気を含んでカビたりしてしまう可能性があります。
湿気でびしょ濡れでカビたケースに楽器を包んでおくと…楽器がどんなことになってしまうか…分かりますね?笑
数日晴れが続いて空気が乾いている日に、ベロっとケースのジッパーを魚の開きのように全開にして、日当たりの良い場所に置いて干してあげて下さい。
1日干してホコホコに温まったケースは、室内に取り込んでしばらく置いておき、室温まで冷ましてから再び楽器を収納して下さい。
長期に渡って触ったり弾いてもらえない楽器は、割れや剥がれが起きても気付いてもらえずどんどん悪化して、開けた時にはとんでもないことに!
なんて事も考えられます。たまに開けて様子を見てあげましょう。