バス椅子


吹奏楽部の多々ある不思議のひとつ…。

何故吹奏楽部ではあまりバス椅子を使わないのか???
 

コンサートを聴きに行ってもテレビで観ても何でも良いのですが、観察してみて下さい。
プロのオーケストラや吹奏楽団のコントラバス弾きはみんなバス椅子に座ってます!


この椅子がバス椅子と呼ばれるのは何故か?
コントラバス奏者が座るための椅子だからです!
(ティンパニ奏者も普通は椅子に座って叩くのですが、これも何故か吹奏楽部ってあんまり座らないですよね…座っているのは指揮者ばかり…何故だ?)
なのに何故座らないのでしょう?
無駄に立ってれば根性がつく的な何かですかね?

疑問をぶち撒けるのはこれくらいにして、真面目に利点を挙げていきます。


楽です。
完全にこの一言に尽きるのですが…。
合奏の最中やら他のパートが捕まったり何だりしている間、立ちっぱなしは地味にキツい。弾いてる時はまだ良いのですが。
だから普通の椅子に座って、楽器は立てたまま支える。これも変な姿勢になるから地味にキツい。
そしてその中で多少なりとも楽なポジションを模索することになる。
バス椅子さえあれば一気に解決。


そして
演奏上も楽です。
基本的には座ることによって色々と楽になります。
なので僕は生徒に感覚やコツを掴んでもらうためにバス椅子を利用する事が多々あります。

そして僕の考えとしては、座って弾く事に最大の利点があるのは身長が小さめな人だと思っています。
どうしてもコントラバスという楽器はでかいです。
その特性上、腕の長さと肩幅なんかがそこそこ重要になってきます。
腕が短いともう物理的に届きませんし、身長が低いと弦を押さえる時に左手をかなり上に向かって上げ続けなければなりません。
そして中学生なんかは成長期の途中ですので、まだ小さい子が多いです。

そう言ったデメリットも、座奏にしてバス椅子と楽器を適切な高さにすることによってかなり解消することができます。

今まで教えてきた中では、身長が大体150cm前後くらいより低い子達は(前述の通り身長より腕の長さや肩幅の方が重要なので、身長は大体の目安にしてます。人それぞれ異なりますので)諸々物理的に届かない事が多いので、座らせた方がより良い結果になることが多いと思っています。

僕らお仕事としてコントラバスを弾いている人達の場合は、大人数の合奏(オケや吹奏楽など)は100%座奏、室内楽やソロなどのコントラバスが1人で演奏するものはそれぞれの個人の好みでと言う感じでしょうか。

立奏にも利点はあります。僕もレッスンする時なんかではほぼ立奏で基礎の部分を作りますし、自分自身が演奏する際、ソロや室内楽は立って弾きます。
しかし上記したように合奏やなんかでは座奏の方を強くオススメします。




あれは忘れもしない僕らが高校生だった頃の夏。

音楽室にクーラーなんて物はなかったあの夏。

これだけ偉そうなことを言いながら当時は何も知らず、僕らもバス椅子に座る事なく立奏で基礎合奏に臨んでおりました。

隣には同級生のコントラバス弾き。

いつも通り並んで弾いていたら、なんと彼が楽器を弾きながら突然気を失いそのまま前にブッ倒れたのです。楽器ごと。

その結果駒はぶっ飛び弓は砕け、楽器のヘッドが前にいたチューバの子の膝に強打して血が吹き出したのでした…。

そんな本当にあった暑い夏の思い出。



そんな訳で、合奏や本番の際は
是非バス椅子に座って下さい。