駒の角度と位置




駒の正しい位置、角度と言っても演奏者それぞれに考え方が違って奏法が微妙に異なるように、職人さんによって考え方や設置の仕方は微妙に異なります。

幾つか説明はしますが、まずは実際に楽器屋さんに持ち込んで相談をしてみてください。


まずはいつもお世話になっている弦楽器工房の親方にいただいた資料を使って解説していきます。


高音側F字孔の内側の「きざみ」から中心線(表板中央の板と板のはぎ合わせた接着面の線)に対し、直角にのばした線上が駒の足(駒の厚み)の中心になります。

この時、駒は中心線に対し直角に置きます。
低音側のF字孔のきざみは無視して結構です。



駒が指板に対し正しい延長線上にあるかをチェックします。

机の上にコントラバスを置き、糸巻の上から指板の端を高音側、低音側と交互に見比べて駒の左右の位置を確認します。



駒は図の様に、テールピース側の面が表板と側板の接着面に対し直角より少し指板に傾くくらいが良いです。



以上までが考え方の一例です。
次はもうひとつの考え方も合わせて解説していきます。


図の左が上で説明した設置法。
F字孔のきざみが駒の足の中心に来るように置き、駒の角度は直角よりほんの少しだけ指板側に傾いています。


図の右がもうひとつの考え方。
F字孔のきざみが駒の足の下から1/3あたりに来るように置き、駒の角度は駒の下側の面(テールピース側)が表板に対し直角です。



このどちらかでなければならない訳ではなく、両方を混ぜた考え方など色々あるとは思います。

あくまでもここに置く時はこういう角度にする傾向がある、と言う例です。

他にも駒の角度を決める基準が表板そのものなのか、それとも表板と側板の接着面なのかなど色々微妙に考え方の違いはあるようです。


共通する大事な事は、駒のトップの部分(弦の振動する始まり地点)がF字孔の内側のきざみの真上にある事だそうです。
これがズレてしまうと弦長が変わってしまい、ポジションの位置もズレてしまうそうです。
 
 
駒の項でも説明しましたが、駒は職人さんがひとつひとつその楽器にピッタリ合うように、芸術的な職人技を駆使して加工して設置されています。

加工の際には立てる角度に合うように削られます。
なので設置した職人さんの意図と違う角度にしてしまうと当然音の出は悪くなります。

大事な事は一度きちんと調整に出し、正しい場所に駒を設置してもらいそれをキープする事です。
 
 
駒は横に何かが激突したりすれば簡単にズレてしまいます。
講習会なんかしていても、ズレたことにすら気付かずおかしな所に駒が立っている楽器が多いです。
結構な数なので直すのにホント苦労するんです…。

駒は音を出すためにとても重要な場所です。
上で説明した場所からズレてるかも?と思ったらまずは楽器屋さんに調整に行きましょう。