オススメ教則本



世の中にはコントラバスを学ぶための教則本がたくさんありますが、その中から吹奏楽部の人達向けにオススメの教則本をいくつか挙げたいと思います。


1冊ごとの細かい説明は下の方に載せていますが、もしあなたが

・吹奏楽部に所属しているコントラバス奏者で
・あんまり専門家に教えてもらえる環境にない場合


僕がオススメなのは

★「入門者のためのコントラバス教本/鷲見精一」
★「もっと音楽が好きになる 上達の基本 コントラバス/前田芳彰」


まずこの2冊をゲットしてこれらの内容を習得することです。
この2冊の内容が習得できれば、吹奏楽部で弾く為には十分以上に知識も技術も得られます。

教則本自体はたくさんありますが、この2冊は吹奏楽部のコントラバス向けに情報が厳選されて書いてあるので、理解しやすく上達も早いと思います。

同じ刃物でも包丁よりハサミの方が紙は切りやすいように、その目的に特化して作られた物の方が効率が良いです。
部活で弾いていると、どうしても個人で練習できる時間は限られているので、効率よく練習したいです。



その後もし
もっとだ!もっと上手くなりたいぜ!と思ったら

★「NEW METHOD FOR THE DOUBLE BASS/F. Simandl」
★「[HIYAMAノート]シマンドル習得のために/檜山薫」

のどちらかに進むと良いでしょう。この頃には「ちょっとレッスンとか受けてみたいなあ」とか思っているかもしれませんし、もし専門家にレッスンを受けようと思ったら、ほぼ確実にこのどちらかは通る事になると思います。

そしてその都度エチュードなんかを混ぜていくと更に良いかなと思います。


それでは1冊ごとの細かい説明をどうぞ!

入門者のためのコントラバス教本 / 鷲見精一

鷲見精一さんが吹奏楽部のコントラバスの子達のために執筆した教則本です。


僕はここ数年吹奏楽部のコントラバスの子達にはまずコレをオススメしています

最初から順番に読み込んでしっかりと練習していけば、吹奏楽部で演奏するために最低限必要な技術が得られるように書かれています。


オススメ理由は

●理解するための写真や説明が大盛りで、非常に分かりやすい。

●ひとつひとつの練習に「この練習では何を気をつけなければいけないか」などの解説がついている。
この解説が非常に的確で大変素晴らしいのです。痒くなりそうな所にもう手が届いて来る感じ。
「そうそう!この辺になったら絶対そうなっちゃうよね!」ってのが、実に丁度良い所で的確に示されます。
一文一文を確実に理解しながら着実に練習を進めていただきたい。

コントラバスの事があまり分からない指導者や指揮者の方々向けのチェックリストがあります。なので顧問の先生にも一度読むことをオススメする事が多いです。
 

DVD付きのものもあるので、映像があるとより理解し易いと思います。

とにかく吹奏楽部に入ってコントラバスを手にして、まず最初に読むべき教則本としては現在最強なのではなかろうかと思われます。

レッスンにつきたいけど近くにプロのコントラバス奏者がいなかったり、教えてもらえる環境にない。そんな人達にもなんとか正しい奏法を学んでコントラバスと音楽を楽しんで欲しい。
そんな目的で書かれています。

もしこの本を手にしたら、記載されている一言一句逃すことなく、内容をよく読んで隅々まで理解する事を強くオススメします。

中学生の頃にこの本に出会いたかった!




もっと音楽が好きになる 上達の基本 コントラバス/前田芳彰


東京佼成ウインドオーケストラのコントラバス奏者である前田芳彰さんが書かれた本で、音楽之友社から出版されている「もっと音楽が好きになる上達の基本シリーズ」のコントラバスの巻です。

 

内容は

『きほんの「き」』

『きほんの「ほ」』

『きほんの「ん」』

『きほんの「上」に』

の4部構成となっております。

 



『きほんの「き」』ではコントラバスの歴史に始まり、姿勢、立ち方、構え方、弓の持ち方等について微に入り細を穿ち解説されています。

 

僕はこの最初の項から震えました。

と言うのも、この辺りはプロの奏者でもそれぞれ細かに違ったりする部分で、教則本にもその本を執筆された方の持ち方や構え方が載っているのが普通です。

 

しかしこの本では、構え方や弓の持ち方それぞれにいくつかの方法と、それぞれの利点等が写真付きで細かに解説されています。

 

そしてさらに驚愕なのが、それらの解説に加えて身体の扱い方で気をつけるべき事が細かに載っている点です。

立ち方からこんなに丁寧に解説してある本は他に類を見ません

実は立ち方ってすごく重要なんです。

 

身体の扱い方に関してはこの項だけではなく、この本全編を通して要所要所でしっかり記載されています。

 

コントラバスは楽器自体が巨大なので、構え方等は演奏する人の身体の大きさなどによって変わらざるを得ませんし、違って然るべしと僕は思っています。

僕自身も教える時は、その人の身体に合った奏法になるように一緒に考える事が多いです。

その為の多くの材料がこの項には網羅されています。

 


『きほんの「ほ」』では左手のフォームからシフトチェンジ、そしてポジション1つ1つに対するコツ等が細かく解説されていきます。

 

特筆すべきは左手の親指の位置に関してもまたいくつかのパターンで解説されている事でしょう。親指の位置は僕も質問を受ける事の多い、考え始めると意外と難しい大事なポイントです。

 

そこからボウイングのあれこれへと話は進みます。スタッカート、マルテレ、スピッカートなど弦楽器では必須の様々な音の出し方扱い方。そしてヴィブラートや日々のトレーニングの組み立て方、エチュードなどもこの項にて解説されています。

 

 

『きほんの「ん」』ではソロを弾くことに始まり、アンサンブルの中での楽しみや音程の話、スコアの読み方から作品の読み解き方、それらを踏まえた音楽的な弓順の決め方へと発展していきます。実際に合奏の中で弾く為には必須の内容です。

そしてピッツィカートから様々な特殊奏法、座奏へと解説は進み、最後は吹奏楽でコントラバスを演奏している人達には是非ご一読いただきたい、吹奏楽の中でのコントラバスの役割についてのお話で『きほん』が締めくくられます。

 


『きほんの「上」に』ではまず楽器のメンテナンスや置き方、小物などについて説明されています。

そして習う、教える、学ぶ、とお話は一生音楽を楽しく続けていくためにとても大切な事に及んでいきます。

 

この項は正に基本の上、僕は最初に読んだ時に

「ああ、前田さんの音楽に真摯なあの音は、やはりこういった事を常日頃から考えてらっしゃるからあの音が出て来るんだ」

ととても深く納得しました。

 

 

ざっとおススメポイントと僕の感想を述べてみましたが、この本はコントラバスを手にしてすぐの人はもちろん、コントラバスを弾いて数年目くらいの最近ちょっと伸び悩んでるかもと思ってる人達や、コントラバスを弾いて気付けば数十年が経ちもう担いで移動するのも少々億劫になってきた大きなお兄さんお姉さんも、ジャンルも問わず、コントラバスをお供に音楽する人には是非とも手に取っていただきたい一冊です。

 

コントラバスを今より上手く扱えるようになる為のヒントと、より深く音楽を楽しんでいく為のヒントが端から端までぎゅうぎゅうに詰まった一冊です。

おまけにデイリートレーニングシートなる基礎練も付いてます!

 

余談ですが、僕は最初にこの本を拝読した際にあまりの素晴らしい内容に興奮しすぎ、嫁に「お前何読んでんだ大丈夫か」と心配された事を記しておきます。

 

 



NEW METHOD FOR THE DOUBLE BASS / F. Simandl

多分世界で最も有名なコントラバスの教則本でしょう


フランツ シマンドル氏著。
写真のものは第1巻で、2巻はハイポジションになります。

ただしこの本だけを読んで、専門家の指導を受けずにコントラバスの技術を得るのはちょいと難しいかなと言わざるを得ません。

一応
『練達の教師の助けを借りられない独学者達に供するために、私はこの2冊の本を、その実用的価値の大いに増大することを願いつつ、平易で理解し易い解説をもって表した。』(序文、p.2 より抜粋)
とはあるんですけどね。中高生にはもしかしたらこれだけだとちょっと難しいかなと。
だってこの序文だけでも日本語難しくないですか?笑


内容は王道中のド王道。
しっかりコントラバスを勉強しようと思うならば必ず通る道です。
いざ定期的にプロにレッスンを受けます!ということになれば、大抵は最初にコレ一冊制覇するところから始まる事が多いんじゃないかなと思います。



ダブルベース[HIYAMAノート]シマンドル習得のために / 檜山薫

檜山薫さんと言うコントラバス奏者の方がいらっしゃいました。


武蔵野音楽大学などで教鞭を執り、数多くの素晴らしいコントラバス奏者を育て上げた方です。
 
その檜山さんがレッスンをされる際に、既出のシマンドルの教則本では足りない部分を補うため、ご自分で手書きの教材を生徒さん達に渡してらっしゃったそうです。

それらの教材とシマンドルの第1巻をまとめ上げて、解説まで加わったのがこの本です。


『本書は、シマンドルの教則本を、生半可でなく、しっかり練習して修得するために作られています。』(HIYAMAノート【6-2本書の使い方】より抜粋)


この一文が示す通り、シマンドル第1巻の技術を徹底的に身体に叩き込むためのこの教則本は、正に修行の一言がふさわしい内容となっております。

ただし、正しくこの本の内容を修得した場合、そこには恐ろしいほど基礎を固く高く積み上げたコントラバス奏者が誕生することになります。


解説の内容もとても素晴らしく、僕も見返す毎にまた新たに納得する事ができます。
気合いを入れて腰を据えてコントラバスを勉強したい人にはかなりオススメの一冊です。

ただし、しつこくもう一度言いますがマジで修行

こんなにすごくて盛りだくさんなのにシマンドル第1巻のほぼ半額のお値段というのもオススメポイント。



コントラバスのための演奏会用練習曲集「四季」 / 作曲:塩見康史 監修:中村勇一

 

塩見康史さんと言う作曲家の方がいらっしゃいまして。


ここをご覧の皆さんには今年(2018年度)の吹奏楽コンクール課題曲1「古き森の戦記」の作曲者ですと言えば分かりやすいでしょうか。


さてこの塩見さんですが、実はアマチュアコントラバス奏者でもございまして(コントラバスもめちゃくちゃ上手い)、コントラバスの響きを知り尽くした上でのコントラバスのための作品を多数お書きになっております。

僕自身は塩見さんの響きの扱い方が好きで、コントラバスアンサンブルのコンサートなんかをする時には必ずと言って良いほど塩見さんの曲を入れさせていただいております。

そんな塩見さんが、初心者がコントラバスの技術を楽しんで修得できるようにと書かれたエチュードです。
監修をコントラバス奏者の中村勇一さんがされております。

四月〜三月までの十二曲で構成されておりまして、ひと月に一曲、一年である程度コントラバスを演奏するのに必要な技術を習得する事を目指す、非常に面白いコンセプトの元に書かれています。

例えば
四月『桜川』は主に1stポジションで全音符、二分音符、四分音符、八分音符のデターシェのトレーニング。

五月『釣鐘寺』は主に2ndポジションでスラー、レガート、スタッカート、ピチカートのトレーニング。

このように、月が進むにつれて使用するポジションと技術が増えていきます。
それらが明確に示されているので、それぞれのポイントに集中して練習しやすくなっております。
そして!

コントラバス二重奏で弾けるようにコントラバスの伴奏譜がついています。
 
二重奏の伴奏譜はけっこう難しいので、先輩と後輩でアンサンブルとか、講師の先生とアンサンブルとかすると楽しく練習できると思います。
 
別売りですがピアノの伴奏譜(上の写真の黄色と緑の譜面)もあるので、吹奏楽部コントラバスの皆様が困りがちなソロなんかにも使えます。

購入は今のところこの↓
中村勇一さんのサイトのみで販売してます。