コントラバスには4本もしくは5本の弦が張ってあり、演奏するためにはこまめに全ての弦をチューニング(調弦)しなければなりません。
ここではチューナーを使った調弦を4弦の楽器を例に説明します。
よく見るメトロノームと一体型のチューナーです。
まずは緑の四角1のスイッチを押して電源を入れます。
そうすると画面が上の写真の様な表示になります。
緑の四角3を見てください。
442Hz
と表示されています。
コレはチューナーが何を基準に音程を測るかの設定を表示しています。
音とは空気の振動です。
そしてHzとは “1秒間に何回振動するか” を表す単位で、ヘルツと読みます。
数字が大きければ音は高く、数字が小さければ音は低いです。
オーケストラなどでは全体のチューニングではオーボエがまずA(ラ)の音を吹き、それに全員が音を合わせます。
そのAの音を何ヘルツにするか、と言うのが基準になります。そのAを基準にして、相対的に他の音が決まります。
この場合はそのAの音を、1秒間に442回振動する442Hzを基準に設定してチューナーが測定しますよ、と言う意味の表示になります。
日本のオーケストラや吹奏楽などでは概ね442Hzで設定しますが、自分の所属する部活が何ヘルツを基準にしているかを確認してチューナーを設定してください。
ちなみにヨーロッパなんかはもう少し高くて444〜446Hzとか。日本でもジャンル次第では440Hzだったりします。古楽と呼ばれる古い音楽をやる時はもっと低かったりします。
要は環境でけっこう変わりますと言う事です。
設定する時は上の写真の緑の四角2
のCALIB(calibrationの略。こういった機械やなんかを調整するの意)と書いてある上下の矢印のボタンで変更します。
初めて電源を入れた時や電池を入れ替えた時なんかは440Hzになっていると思います。
ちなみにちなみに
G-D-A-E(ソ-レ-ラ-ミ)
となっています。
チューナーを442Hzに設定すると大体
G=98.2Hz
D=73.7Hz
A=55.3Hz
E=41.4Hz
となります。
5弦の楽器なんてHに調弦していた場合には
H=31.1Hz
です。
人間は大体20Hz〜20,000Hzの音が聞こえると言われていますから、コントラバスの音がいかに低い音なのかわかりますね。下限ギリギリです。
間違えて違うペグを回さないよう気をつけてください。僕はよく間違えますが。
まずはD線のチューニングをしていきたいと思います。
上から2本目のD線を弾いてチューナーに聴かせてください。
上の写真はD線を弾いて完璧に合った状態の表示です。
真ん中上の緑のランプのみが点灯し、メーターの針もど真ん中を示しています。
この状態を目指してチューニングします。
写真の緑の四角で囲われた部分に
D(レ)と表示されているのが分かりますか?
ココが音名を表しています。
他の音の表示になっていたら少なくとも半音以上ズレています。
お次の写真は
音名はDになっていますが、上部左側の♭のマークがついたランプが点灯し、メーターの針が左側に振れています。
これは
「一応Dの音なんだけど、正しい音程より低いですよ」
と言う表示です。
正しい音程にするにはペグを巻いて音程を上げてやらなければなりません。
D線の音程を上げたいので上の写真の矢印がついているペグを矢印の方向へ回します。
そうするとパワフルな歯車の威力で弦が巻き取られて音程が上がります。
ぐわっと回すととんでも無い事になるので、ちょこっとずつにしてくださいね!
おっと今度は上げすぎてしまったようです。
上の写真は
音名はDですが、上部右側の♯のランプが点灯し、針も右側に振れています。
これは
「音は一応Dだけど、正しい音程より高いですよ」
と言う意味です。
今度は音程を下げてやらなければなりません。
先ほどと逆の方向にペグを回してやります。
そうすると弦が緩み音程が下がります。
しかし
音程を下げる時に注意して欲しい事があります。
コントラバスはペグを回し、歯車でそのパワーを増幅し弦が巻きつけてある軸を回転させ、弦を巻き取ったり緩めたりしてチューニングをします。
音程を上げる時は問題ないのですが、下げる時にペグを回して弦を緩めたつもりが、巻きつけられた軸の周りで弛むだけになることがあります。
上駒と弦の摩擦があるせいです。
それを避けるために
上の写真のように、弦を青矢印の方向に引っ張り弦が巻きつけられた部分の弛みを取ります。
引っ張りすぎないでください!
写真くらいちょこっとで十分です。
これをやらないと、弾いている最中(ピチカートなんかは特に)に突然音程が下がったりします。
そんな事情がありまして、弦楽器に共通なのですが
チューニングは上げながら合わせるのが基本です。
ペグを緩めて弦を引っ張ると割と音程が下がります。そこからまた上げてチューニングを合わせてください。
G線の場合はこうなります。
A線は表示がA、E線は表示がEになるようにしてください。
これでやっとチューニングが終わりましたが、まだいくつか気をつけて欲しいことがあります。
★弦楽器は非常に絶妙なバランスで成り立っているため、弦を全てチューニングして終わった!と思っても、最初の弦の音程がまたズレている事が多々あります。
チューニングすることによって各弦の張力のバランスが変化するせいです。
なのでその日の最初のチューニングは各弦を二周くらいしてください。
★最初にどんなに完璧にチューニングしても、弾いているとどんどん音程はズレていきます。
基本的には
気温が上がると音程が下がり、気温が下がると音程は上がります。
湿度が上がると音程も上がり、湿度が下がると音程も下がります。
なのですが実際は気温だけ変わって湿度が変わらないなんてことはないので、刻一刻と変わる複雑な条件に翻弄されることになります。
チューニングはこまめに行うようにしてください。