YouTubeにて新シリーズ
【楽譜の読み方講座】
を始めました!
★楽譜なんて全く読めないゼロからの初心者が、楽譜を読むための知識が身につけられる。
★そこそこ楽譜を読めてるつもりの人たちでも、今まで気づかなかった新しい音楽的な気づきが得られる。勘違いしてる人が多いルールを再確認してもらう。
という2点を大きな目標に掲げて製作しております。
現在は第7回までYouTubeに公開してあります。
で、
コントラバスのサイトのYouTubeチャンネルなのに、何で突然こんなもんを始めたのかって事を書いておこうかなと思います。
もしかして楽譜を読めない子が増えているのではないだろうか
きっかけは去年の出来事でした。
細部まで書いてしまうと色々と問題が生じてしまうのは想像に難くないので、肝心の部分なのに詳細を伏せてしまうことはお許しいただきたいのですが。
中高合わせて3校の吹奏楽部が集まりまして、その中で
楽譜を読める子がほとんどいない
という、脳みそが月までブッ飛ぶほどの衝撃を受けた事件がありまして。
コントラバスの子が、ではなく全ての楽器の全ての部員に関して、です。
「楽譜を読める」
の定義をどこに設定するかにもよるとは思いますが。
ドレミファソラシドを読むのがギリギリ。
ギリギリアウトと言っても過言ではない。
リズムやシャープフラットもかなり怪しい。たぶん理解は出来てない。
くらいの次元。
そんな事がありまして、色々と考えてみた訳ですが、
「もしかして、楽譜を読めない子が増えているのかもしれない。」
と思い至りました。
吹奏楽コンクール金賞常連で、各楽器のトレーナーにプロの人達を呼んで…とかの一部の学校を除いた話です。
圧倒的大多数を占めるであろう、いわゆる “普通の学校” の吹奏楽部に関しての話。
地区で大々的に行う講習会とかだと、その地区にあるほとんどの学校が集まったりしますので、受講生はその “普通の学校” の子達が大多数になります。
そんな講習会の多くは毎年恒例で開催されていて、幾つか毎年講師をさせていただいているものがあるのですが、その中でうっすら感じていた事。
少しずつ、本当に少しずつですが、楽譜を読めない子が増えているような気がしていました。
ただ、吹奏楽部に所属していようが楽譜を読めない、もしくは読むのが苦手な子はいますし、毎年きちんと数えていた訳でもないので
「楽譜読めない子が増えているようないないような?」
というぼんやりした状態ではありました。
そのぼんやりが、加速しているような気がしておりまして。
更に去年の事件が勃発し、改めてこの
楽譜を読めない子が増えてるんじゃないか問題
について考えてみようと思ったのが始まりでした。
そもそも自分はどうだったのか
「ガタガタ偉そうに言ってやがるが、まず自分はどうだったのか。」
というところから考えてみました。
幼少期よりピアノを習ってはいたものの、楽譜をきちんと読めるとは程遠いところにいたのは間違いない。
なぜなら楽譜を見てよく分かんないところは、先生が弾いて下さったのを見て聴いて覚えてそのまんま弾いてた記憶がうっすらあるから…笑。
余談ですが大きく育った後、ピアノを教わっていた恩師に
「私はあなたになんとか音楽を嫌いにならないようにいてもらわなきゃ、と思って教えていたのよ。」
と言われるくらいには不真面目な生徒でした。
教える側になった今思い返せば、お言葉の通りあの手この手を尽くしてくださっていた事が身に染みて分かります。
恩師のお陰様にてまんまと音楽を愛し今ではこう。
言葉にできないほど感謝しております。
閑話休題。
そんな感じで「楽譜を読む」事に関しては、面目なくもなんとなく終えた小学生時代。
中学生になり吹奏楽部へ入ると大きく舵を切る事となりました。
入部してまずやらされた事。
最初の1か月間くらいは
新入生全員楽譜の読み方の勉強です
マジです。
毎日音楽室で座学。
その後行われるテストを全てクリアして
初めて楽器が与えられるというルール
ちなみにまだこの段階では、自分が何の楽器になるかも決まってません。
全員がクリアした後、やっと楽器を決めるためのあれこれが始まります。
楽譜を読み、音楽をするために必要な基礎知識を理解するだけではなく、リズムを叩く試験とかもありました。
これも
全員がクリアできるまでやる
できた人ができていない人に教える光景が、そこかしこにて見られました。
楽譜を読む事やそのための勉強に関して、私が最初に真剣に取り組んだのは、間違いなくこの出来事でした。
恩師に聞いてみよう
私の「ちゃんと楽譜を読む」が中学校時代の吹奏楽部に始まったのは再確認した。
うむ。
ではそれをやった張本人である、中学校時代の吹奏楽部顧問であった恩師にお話を伺ってみよう。
幸いにも顧問であった恩師とは今でもしっかり交流があり、お酒を酌み交わしつつ近況報告やその時々の相談や愚痴を聞いてもらう機会がございますもので、その際の議題にしてみました。
以下その時の恩師と私の会話を記憶に基づいて再構成いたします(話していた内容を再構成したもので、会話そのままを書き起こしたものではございません)。
「先生ちょっと聞きたいことがあるんスけど。」
「うん?何だ?」
「先日こういう事がありまして…。(前述の衝撃だった出来事の説明。略。)で、オレら中学生の時部活入って、まず勉強させられたじゃないですか。」
「やったな。」
「あれって先生の生徒は全員必修でやらされてると思うんですけど、他の先生で似たような事やってる人とかっています?」
「あー…うん。他にやってる人は俺はあんまり聞かなかったかもしれない。」
「あ、やっぱそーなんだ?何でですか?」
「そもそも日本の学校教育ってな、中学生になった時点で楽譜が読めるようになってるって前提なんだよ。」
「どーゆー事すか?」
「小学校の授業で楽譜の読み方習っただろ。」
「やりました。たぶんですけど。ピアニカとかリコーダーとか吹いたし。」
「そうだろう?お前も知ってると思うけど、学校で教える授業の内容ってのは決まっていて、小学校で教える内容の中にある程度の【楽譜の読み方】ってのは入ってる。」
「あーそうっすね。」
「そうすると、中学校の先生は生徒達は楽譜が読めるって前提から中学校の教育を始めるんだよ。そうだろ?受けた授業内容としては、中学校に上がってくる時点で楽譜は読めるようになってるはずなんだ。」
「そりゃそうなりますわな。え、あれ?じゃあなんで先生は入部した生徒にまず楽譜の読み方の授業してたんですか?」
「小学校の授業で教わっただけで、全員が楽譜を読めるようになってると思うか?」
「思わないすね。読めないヤツのが圧倒的に多かったと思いますし。」
「そう、理解できてる子もいるし、できてない子もいる。算数の授業を受けたからって、全員が問題を解けるようになる訳じゃないんだ。でも吹奏楽部で合奏に入って音楽をするためには、全員がある程度楽譜が読めないと成り立たないだろう?だから楽器を手にして練習を始める前に、全員に楽譜が読めるようになってもらう必要があった。」
「なーるーほーどー。先生はいつそれに気付いて始めたんですか?」
「教員になって最初の年に気付いて、次の年から始めたな。」
「そっからずっとあのスタイル?」
「そうだね。改善はしていったけど、基本はあのスタイル。」
こんなやりとりがありまして、そこで改めて確認できたのは
★楽譜の読み方は、ある程度小学校で習ったはずだが、全員が読める訳ではない
強引にまとめるとこんな感じですが、これだけだと元々あった「楽譜が読める子と読めない子がいる」問題の原因でしかない。
「最近楽譜を読めない子が増えてる気がする」問題の直接の原因ではなく、要素のひとつであるっぽい。
なのでここを起点に、更に考察してみることにしました。
原因を考える
思いの外長くなってきてしまいましたので、思考過程はすっ飛ばしますが、「楽譜を読めない子が増えてるのではないか」の原因のひとつとして考えられるのは
★学校の先生が忙しすぎる
という点。
最初に提示した
「3校集まってほとんどの生徒が楽譜読めない事件」
について情報収集してみた結果ですが、
音楽の先生、もしくは他の教科担当ではあるが楽譜の読み方の指導ができる顧問の先生が忙しすぎて、部活動の指導に(ほぼ)携われていない。
という共通点がありました。
「じゃあ誰が指導してるの??」
とお思いになるかもしれませんが、多くの場合は
音楽が全くわからない他の顧問の先生が、指導に当たる事になります
だって人がいねーんだもの。
圧倒的なるマンパワー不足。
楽譜が読めない生徒が増えるのは、当たり前ってか当然の結果だなと…。
しかしそうせざるを得ない学校があるってのが現状で。
そしてこれも知っておいていただきたいんですが、
音楽を知らない顧問の先生方だって、「やる事になった以上は出来るだけやる!」と出来ることを必死にやってらっしゃる方は多くおられます
ホント凄い。
私なら
「今日からお前はバスケの指導しろ」
とか突然言われても詰むだけだ。
だからこれはもう誰が悪いとかでなく、現状のシステムがあまり宜しくないとしか言えないですよね…。
学校の先生って大変お忙しい職であるとは思いますが、特にここ10年とかはその異常度が加速しているのではと感じています。
(正直申し上げて…あまり大きな声では言えませんが…友人の先生方を拝見していると、もう『忙しさ』や『労働時間』の感覚が、完全にバグってるのではとすら思います…人によるとは思うのですが。)
私はその辺りの専門家ではないので、それらに関する議論はこれ以上ここでは申しません。ただの感想でしかありませんし。
先生方の忙しさや諸々の問題を解決するため、ここ数年で「部活動を外部に委託する」という話が出てきていたり、少しずつ始めているところもあるにはあるようですが。
その件に関してもクリアできていない多くの問題、課題があるようで。
まあこれも今回の主旨とは別の話なので、これ以上は申しません。
先生方の忙しさが加速しすぎて、音楽の指導ができる先生方が部活を指導できる時間が減りつつあるのが
私が「楽譜を読める子が減っているのでは」とぼんやり感じていた事の一因ではないかと。
原因を考える その二
そしてもうひとつ
ここ数年で「楽譜を読める子が減っているのでは」を一気に加速させたのはやはり
★コロナ禍での諸々で情報伝達がぶった斬られた
ことも原因かと愚考します。
先生方の指導によるものだけではなく、先輩が後輩に分からないところを教える、あるいは友人と教え合う、といった事は部活動の中で日常的に行われていたであろうと思われます。
ところが吹奏楽部に限らず、コロナ禍でのそもそも登校できない、または部活動時間の減少などによって、人から人へと伝わる経験や情報の伝達が途切れてしまった。あるいは大幅に減ってしまった。
そしてその大幅に減ってしまった「本来なら伝えられていた情報」の中に「楽譜の読み方」も含まれているだろうと。
これも先ほどのひとつ目の原因と同じように
誰が悪い訳でもない
ただ流れの結果としてそうなってしまっただけですわな。
しかしこちらは例えば
・楽譜の読み方や音楽のルールをしっかり理解していて、友人や後輩たちにそれを伝え周りも巻き込めるブレイクスルーかつコミュ力お化けなヤツが入部してくる。
もしくは楽譜の読み方を理解している人とコミュ力お化けが部内に同時に在籍。
・再び知識や経験が蓄積、伝達されるまで時間を掛ける。
などによって改善可能ではあるのではと思われまする。
ひとつ目の解決策の場合は、何が飛び出すか分からないのでワクワクが止まらない。
ふたつ目の解決策の場合は、より良いものを伝えてゆく新たな伝統を作り上げるチャンスでもある。
どちらも個人的には大変盛り上がる未来です。
考察の終了
さてさてここまで
吹奏楽部で「楽譜を読めない子が増えているのでは」
という問題の原因について考察してまいりましたが、私個人の見解としましては
①そもそも入部した段階では楽譜が読める子と読めない子がいる
②音楽を教えられる顧問の先生が忙しすぎて指導できない
③コロナ禍で情報伝達がぶった斬られた
という三段構えにて落ち着きました。
(しつこく申し上げますが、あくまで個人の見解です。)
例えば三段構えが問題なくうまく行っていた場合。
楽譜が読める、読めないの人数変化を比で表してみましょう(イメージです)。
①入部した時は読めたり読めなかったり
【読める5 : 読めない5】
↓
②顧問の先生が指導するでしょう
【読める6 :読めない4】
↓
③更に細かい部分は生徒同士で補うでしょう
【読める7 : 読めない3】
たぶん諸々うまく行ってる場合は、部活動を続けていくうちに①から③へと進んで、②③を繰り返しさらに深めてゆくイメージだったのではなかろうかと。
私が最近
「楽譜が読めない子が増えているのでは」
と思っていたのは
②と③が破綻して
【読める5 : 読めない5】
の比率のままだったのではなかろうか。
そう考えてみると
我が恩師である中学生時代の顧問は
生徒達が入部してきてすぐに
【読める10 :読めない0】
にするって事を己の第一のハードルに据えていたってぇ訳で。
改めてイカれてるぜ(いい意味で)…。
そんな恩師の教え子達である卒業生の皆様は、私と同様にプロとして演奏で飯食ってる人もいますが、特に申し上げたいのは、社会人になっても音楽を続けていたり、一旦離れてもタイミング見て再開したり、
大人になっても変わらず音楽を愛する人が多く育った
という事です。
これは学校における音楽教育で、最高の成果をあげたと言っても過言ではないと私は思っています。
で、どーすんの?
って事ですよ。
問題ってのは原因を潰すのが解決の最速策ではありますが、ここまで原因を考察してみた結果
私にはどーもできんくない?これ
という何とも情けない結論で。
じゃあせめて対症療法かと。
かと言って、例えば事の発端となった3校に突然押しかけて
「貴様らにこれから楽譜の読み方の授業じゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
とかぶっ飛んだことは出来ない訳ですよ。
じゃあせめて
せめて
「楽譜の読み方が知りたい」
「もっと音楽のことを知りたい」
と思って調べた人がいた時のガイドとして
ゼロからしっかり段階を踏んで、楽譜の読み方と音楽の作り方を解説する動画を作って置いておこう
と思ったのでした。
そんな訳で
楽譜の読み方講座を始めました。
ここに至るまでのまでの長い長い経緯がございましたもので、冒頭に挙げた
★楽譜なんて全く読めないゼロからの初心者が、楽譜を読むための知識が身につけられる。
を最大の目標に。
更にこれまで色々レッスンやらなんやらしてきた経験から
★そこそこ楽譜を読めてるつもりの人たちでも、今まで気づかなかった新しい音楽的な気づきが得られる。勘違いしてる人が多いルールを再確認してもらう。
というのをもうひとつのテーマとして制作することにしました。
してはみたものの。
あらかた想像はついておりましたけれども。
まあ手間暇掛かりますわね!
作りおきがあるうちは良かったんですけれども、その後の更新がかなり遅いペースになってしまって申し訳ありません。
重ねて申し訳ないことに、作業時間の確保が難しくなってきておりますもので、皆さまがお忘れになられた頃に、人知れずそっと公開再開する感じになるかもしれませぬ。
一応ルートと言うか学ぶ内容と順番は既に決めてあります。
1から最終回まで順番に知識を積み重ねて、最後まで見れば、1人で譜読みしたり合奏に出ても問題ない知識を持てるような構成。
今悩んでるのは、合奏に必要な知識の最低ラインクリアで終えるか、もう少し先まで踏み込んでくのか、ってとこです。
踏み込む場合は最低ラインクリアの場合よりも、単純に10回分くらい増えるかと。
あとここ数回分はかなり真面目な感じになってしまったので、そろそろ多少ふざけ始めるか否か。
私の事だから途中で飽きる可能性も捨てきれませんので、うっすらそんな計画ですとお伝えしておきます。
結び
ここまで書き並べたり考察してきたことは、何度も申し上げておりますがあくまで個人の見解です。印象、感想、妄想の類を出ません。
たまたま私の周りに昨年の出来事のようなものが立て続けにあっただけで、日本全体で見たらそんな事はないのかもしれないし、なんならそうであって欲しい。
あまりに文章が長くなってしまったので、ここまでご覧いただいた人並外れた忍耐力をお持ちの皆様におかれましても、もしかしてお忘れの方がいらっしゃるのではと危惧している次第にはございますが、本稿は
新しい動画シリーズ始めました!
ってお知らせをするために書いたもので、問題提起がしたかった訳ではございませんの。
おかしい…どうしてこうなった…?
ともあれ、単に音楽をやる上で楽譜が読めた方が良いのは間違い無いです。
楽譜を読む能力≒音楽を読む能力
でもあるので。
しっかり楽譜を読み解けるならば、その人は音楽のルールを深く理解している。
より深く楽しむためには、より深く読み解ける能力が必要です。
より深く読み解く能力を得るためには、多くの知識と経験が必要です。
そしてこの学びにはゴールはなく、一生遊べます。
私もまだまだ毎日新しい発見と学びの連続ですが、遥かに仰ぎ見る先の長いこと長いこと。
そんな遊びを一緒にしません?
というお誘い動画です。
この動画シリーズが、いつか誰かが音楽をもっと楽しむための一歩を一緒に歩めたらよいなあ。
ぼちぼちやっていきますので、皆様鷹揚の御見物をお願い申し上げます。
それではまた!