前項までのセオリーを頭で理解したら、実際にそれらを身体に覚えさせ、息を吸って吐くのと同じくらい自然に使う為の練習をします。
製本テープなんかが剥がしやすくていいです。
あんまり粘着力のあるもので剥がれなくなってしまうと厄介なので。
剥がしやすくする為に上の写真のように端っこを折って、かつ粘着力を弱めるために弓に貼る前に手とか服とかで何回かペタペタしてから貼ると良いかと思われます。
弓の毛の実際に弾く部分(手元の金具から弓先まで)の長さを四等分して4マスに分けてください。
弓全体の長さではなく、毛の弾ける部分の四等分です。
↓その四等分した箇所にテープを貼り、印を付けます。
テープは練習終わりには一応剥がして下さい。
さすがに貼りっぱなしはあんまり弓に良くなさそうな気がするので。
「テープとかを弓に貼るのはちょっとなあ」
って人はチョークで書いちゃっても良いです。チョークなら拭けば落ちます。
なんらかの印があれば良いです。
★鏡的なナニカ
全身が映る鏡的なナニカがあると良いです。
鏡、窓、黒光りするピアノ、スマホとかタブレット、演奏中の自分の姿や動作が確認出来ればなんでも良いですが、練習をする時には見て確認できるものがあると上達は早いです。
中高生だったら学校のどこかの廊下や踊り場に、一枚くらいでっかい鏡があるんじゃないでしょうか。その前で練習すると良いです。
最も大事なことは、良い立ち方座り方構え方、そして良い弓の持ち方で基礎の動作を練習する事です。
他の部分をどんなに気を付けてもこの部分がきちんとできていないと上達しません。
長くなってしまうのでここでは詳しくは述べませんが、是非
オススメ教則本で挙げているうちのどれかをゲットして自分の演奏スタイルを探してみて下さい。
ちなみに
★「入門者のためのコントラバス教本/鷲見精一」
では pp.13-16
★「もっと音楽が好きになる 上達の基本 コントラバス/前田芳彰」
では pp.10-19
★「NEW METHOD FOR THE DOUBLE BASS/F. Simandl」
では pp.4-5
★「HIYAMA NOTE シマンドル習得のために/檜山薫」
では pp.9-11
にそれぞれ詳細な説明があります。
参考にして下さい!
ここから説明する練習は、パッと見簡単に見えますが、きっちり気を付けながらやろうと思うと意外に出来ない事が多いです。
本当は初心者のうちに、初めてコントラバスを持ったら最初にやって欲しい練習なのですが、僕の経験上、そこそこ弾けるんだぜ!という状態でレッスンを受けに来た人であっても、初めてやってもらう時は大抵どこかで引っかかって発狂して面白いリアクションが見られます。笑
必ずメトロノームを使用します。
テンポは♩=60に設定して下さい。
D線の解放弦で
弓を指板の切れ目辺り、もしくはそこから数センチ以内の範囲に弓を置き
全弓で4拍音を伸ばします。
↓楽譜にするとこうなります。
-
弓を弦に対して垂直に、弦上の1点を動かす。
-
音を出している間、弓のスピードを一定に保つ。
-
音を出している間、弓にかかる重さを一定に保つ。
この三点に集中してみて下さい。
これらの要素が1つでも出来なかったりぶれたりすると、音が伸ばしている途中で変化してしまいます。
目指すのは
自分の出したい美しい音が、音を伸ばしている4拍の間、音に変化がなく一定に出続ける状態です。
目と耳と身体の状態によくよく感覚を研ぎ澄ませながらやって下さい。
項目1つずつ気を付け方を解説します。
必ず鏡もしくは鏡的なナニカを見ながらやってください。
ボウイングだけでなく全ての練習に共通するのですが、
弾いている最中に自分の目でフォームを確認しようと思うと、その部分を覗き込む事によって姿勢や身体の使い方が変わってしまい、練習する意味がなくなってしまいます。
演奏するのに良い姿勢と構え方を保ち鏡に向き合い、目で確認しながら修正していきます。
しばらくこれだけ気をつけながらやれば出来るようになると思いますが、もし全然出来ねえ!という場合は、ちょっと乱暴な手段ですが、このように↓
弦の弾きたい位置の上下に、弓の毛の幅の隙間を空けてテープか何かで印をつけて下さい。
この印の間だけを動かすように繰り返し練習します。
ガイドがある事によって弓の位置が見やすくなりますし、弾きながら弓の位置がズレてテープの上に行ってしまうと音が出なくなるので、ズレた事も分かりやすくなります。
松ヤニでベタベタなトコにテープを貼るので、何も考えずベタッと貼ると剥がす時に苦労します。上記の弓に印を貼る時の様に端を折ったり、テープの粘着力を弱めたり、工夫してみて下さい。
弓を垂直に1点で動かすためには、どういう風に腕や身体が動けば良いのかを色々試しながら探して下さい。
ここでやっと弓に貼った印の出番です。
メトロノームがピッと鳴る瞬間に、弓の印の部分が弦を通過するようにして下さい。
弓を四等分したので、弓全体で印と印の間は4マスあります。
音の長さ一拍につき、ひとマス分を使う事になります。
↑弓の先端で弾き終わり
もしくは次の小節の1拍目のスタート
アップの場合はこの逆になります。
印をつける事によって、弓を使う幅とスピードが見て分かりやすくなります。
メトロノームが鳴る瞬間に確実に印の部分を通過するようにし、印と印の間は均等なスピードで弓が動くように気をつけます。
これが目で見て確認しづらいのでちょっと難しいのですが、最初に気をつけて欲しいのは
無理に大きな音を出そうとしない
という事です。
特に初心者の場合、とにかく音を出そうとして力を込めて押さえ込んでしまう事が多いのですが、最初のうちは弓が弦を撫でてるかなくらいで十分です。
音量としてはmpとかその辺になるでしょう。
むしろ他の弦楽器をやっていた人ならまだしも、最初はまともな音なんか鳴らないと思います。
最初は音が鳴らなくても良いので、弓が弦を撫でてるくらいの感触のまま、ここまでに解説した
1. 弓を弦に対して垂直に、弦上の1点を動かす。
2. 音を出している間、弓のスピードを一定に保つ。
の2点の動作を練習してみて下さい。
この2点が上手くいくようになって来た頃には、自然と音が鳴るようになってきていると思います。
特に手首から先はあまり力を込めないように柔らかくある事を心掛け、弓の毛と弦が擦れる感触を感じ取るようにして下さい。
音が鳴る感触が分かってきたら、弓の端から端までその感触が変わらずに使えるように練習します。